テレビなどで正当防衛という言葉を聞いたことがあると思います。
そんな正当防衛という言葉は、刑事ドラマなどで、悪い人に襲われて、誰かを助けるためや自分の命を守るために反撃したときに使われますよね。
でも、それってテレビの中の話であって、正当防衛は自分には関係が無いことだと思っている方がほとんどだと思います。
しかし、テレビや他人事ではなく、もしかしたら正当防衛が自分に関係することもあるかもしれませんよ。
生きていれば、口論の末に殴りかかられることもあるかもしれませんし、酔っぱらいに絡まれる可能性もありますよね。
さらに、通り魔に襲われたりする可能性もゼロではありません。
そんなときに自分の身を守るために正当防衛をすることになるかもしれないのです。
そして、基本、正当防衛になると思って反撃をするようなことは無いと思いますが、相手に攻撃されて反撃であれば正当防衛だから大丈夫だと思うかもしれません。
しかし、反撃であっても正当防衛が認められなければ、被害者であるはずの自分が、ただの犯罪者になってしまう場合もあるのです。
どんな状況であれば正当防衛として認められるのでしょうか?
では、正当防衛について説明してみます。
○正当防衛とは?
正当防衛は、法律によってきちんと定められています。
(正当防衛) 刑法36条
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2項・防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
正当防衛とは、このような場合に認められるということになります。
なので、正当防衛が認められるのは、「急迫」「不正」の侵害があり、「防衛」のため「やむを得ず」である必要があるということです。
そして、正当防衛として認められるためには、全てに当てはまらないといけません。
だから、「急迫」「不正」の侵害があり、「防衛」のためであっても、例えば他に方法がある場合は、「やむを得ず」にならないので正当防衛にならないということです。
そして、防衛の行為に相当性があれば「正当防衛」となり無罪ですが、防衛の程度を超えた場合は「過剰防衛」とされ、刑法36条の2項で処罰される場合があるということです。
正当防衛が認められた場合は、相手が怪我をしたり死亡したりした場合でも、違法性が否定され、犯罪とならないので、刑事上の責任を問われることはありません。
○正当防衛だと認められるには?!
正当防衛だと主張して、警察や検察の捜査の結果、正当防衛であることが明らかであれば、不起訴として刑事裁判手続にならない可能性もありますが、正当防衛となるかどうかの判断基準は明確ではありません。
だから、すぐに正当防衛であると判断されることは、ほとんどないのですね。
なので、通常は、正当防衛を主張した場合であっても、不起訴とならず裁判手続に移行する可能性があります。
そして、裁判になれば、正当防衛の主張をして戦うことになりますが、正当防衛の立証は簡単ではありませんし、最終的に正当防衛が認められたとしても、拘束される時間などもあるので被る被害は多大になります。
そして、正当防衛だといっても、やり過ぎだと判断される可能性があります。
そんなときには、正当防衛ではなく過剰防衛になる場合があるのですよ。
○正当防衛でも度を超えると過剰防衛?!
正当防衛だけど反撃をし過ぎだと判断された場合に過剰防衛になります。
過剰防衛の場合は、刑を減軽してくれますが、犯罪行為だと罰せられるのです。
だから、過剰防衛になれば、犯罪者ということになるのです。
では、どんな場合に過剰防衛になるかというと、基本、一般的に考えて妥当な反撃なのかがカギとなるようです。
正当防衛と過剰防衛の線引きは難しく、状況によって変わるようですが、自分の攻撃が相手の攻撃と同程度であることが重要です。
相手が武器を使っていないのに武器で攻撃すれば、過剰防衛になる可能性が高いようです。
そして、性別や体格差、年齢差なども考慮されるようです。
だから、80歳の小柄な女性が殺すぞ!と声を抗えて殴りかかってきた場合に、20代の大柄な男性が殴り返した場合は、正当防衛にならずに過剰防衛になるという感じでしょうか。
そして、たとえ反撃であっても正当防衛にも過剰防衛にもならなければ、ただの犯罪者になってしまいます。
○正当防衛にならなければ犯罪?!
反撃が正当防衛になるというわけではありませんので、反撃であっても犯罪になる場合があるのです。
例えば、喧嘩になって相手が先に殴ってきた場合でも、殴り返して相手に大怪我を負わせたり、死亡させたりするようなことになって、正当防衛が認められなければ、傷害罪や傷害致死罪になることもありますし、もし
最悪、殺意があったと認められれば殺人罪になってしまいます。
傷害罪の法定刑は、1か月以上15年以下の懲役、または1万円以上50万円以下の罰金。
傷害致死罪の法定刑は、「3年以上の有期懲役」、3年以上20年以下の懲役。
殺人罪の法定刑は、死刑、無期懲役、5年以上の懲役。
このように反撃であっても、正当防衛や過剰防衛だと認められなければ、重い罪を受けなければならないのです。
だから、最終的に反撃しなければ、本当に自分や他人の命の危険がある場合でなければ、反撃しない方がいいのです。
なるべく反撃しない方がいいということは、理解できたと思いますが、結局どうすればいいのか?
反撃するよりも、まずは逃げることを考えるべきなのです。
○逃げるが勝ち?!反撃よりも逃げることを考えろ!
結局いざというときはどうしたらいいのかというと、とにかく「逃げる」ことがベストです。
そして、逃げるための時間稼ぎとして反撃するべきなのですね。
もちろん攻撃をしてきた方が悪いのですが、反撃をして犯罪者になってしまったら自分が損をするのです。
だから、攻撃をしてこられたら逃げて警察に行くのがベストなのですね。