私たちが、今、使用している石油や石炭などのエネルギーは無限ではなく、いつかは底を尽きてしまいます。
そのため、エネルギーとして、水力発電や風力発電、太陽光発電が注目を集めています。
また、これらのエネルギーは、発電時に二酸化炭素を発生させないことも注目される理由ですね。
そして、これから注目したい発電は核融合炉という原子力発電です。
核融合炉も二酸化炭素を発生させませんし、資源は豊富にあり、なんと言ってもとても多くのエネルギーを作ることができます。
原子力や核と聞くと何だか恐ろしい感じがしますが、理論的に現在の原子力発電である核分裂炉と比べると安全なのです。
☆原子力発電の種類
原子力発電とは、原子炉を使用して行う発電のことで、原子炉は大きく分けて核分裂炉と核融合炉の二つに分けることができます。
原子力発電は、技術的な問題で今のところ核分裂炉を使用した発電所になります。
そして、核融合炉も原子炉を使用した発電になりますので原子力発電になりますが、実は全然違う発電方法なのです。
では、核分裂炉と核融合炉にはどのような違いがあるのかを紹介していきます。
○核分裂炉とは?
一般的に多くの人がイメージをする原子炉が核分裂炉になります。
核分裂炉は、核分裂反応を起こす発電のことで、核分裂は重たい原子が二つ以上に分裂して軽い原子になることを言います。
核分裂炉の発電に使用されているウランは、核分裂をするとクラプトンとバリウムに分裂します。
ちなみに、核融合炉では、ウランやプルトニウムを使用することはありません。
このように一つの原子が分裂して他の二つの原子なることを核分裂と言います。
この分裂の際に出る熱を使用して、発電をするのが一般的に知られる原子力発電であり、ウランを分裂させるには、高速中性子が必要なのですが、一度分裂が始まると分裂した物質からも高速中性子が発生して連鎖的に反応をしていくのです。
そのために、一度使い始めた原子力発電所(核分裂炉)は簡単に止めることができず制御できなくなると暴走してしまい危険なのです。
○核融合炉とは?
核分裂炉と核融合炉は、全く反対の原理で、核分裂炉が原子を分裂させるものであるのに対して、核融合炉は、二つ以上の原子を一つに融合することになります。
そのため、核融合炉に必要なモノは、ウランやプルトニウムなどの重たい原子ではなく、逆に水素やリチウムなどの軽い原子であり、安全なモノを使用します。
また、核融合を起こすためには、高圧高温な状況を作り高速で原子と原子をぶつけないといけません。
そのため、核融合をする環境を維持することが難しく核分裂炉のよりも技術的に難しいために実用化が遅れているのです。
では、技術的に難しいが安全だと思われる核融合炉のメリット・デメリットについて説明していきます。
☆核融合炉のメリット
○核融合炉はエネルギー凄い!
核融合炉は、別名地上の太陽ともいわれており、別名からしても凄いエネルギーを予感させてくれますね。
太陽が光っているのは内部で核融合が行われているためであり、それと同じことをしている核融合炉だから地上の太陽といわれる別名が付いたのです。
核融合炉は、太陽と同じことをしているのですから、それだけ高いエネルギーを持っているということであり凄いエネルギーになることは間違いないのです。
○核融合炉による発電に必要な資源は豊富!
エネルギー問題という言葉を聞いたことがあるとおもいますが、現在では石油や石炭、ウランなどのエネルギーは底が見え始めてきています。
このまま使い続ければ、世界中がエネルギー不足に苦しむことになるのですが、核融合炉で電気を賄えば問題が解決するかもしれません。
核融合に必要な重水素は、海水中に数千億年分あるといわれており、計算上では太陽が消滅するよりも長く資源として使用することができます。
ちなみに、太陽の推測年齢は約46億年といわれており、太陽の寿命は大体 100 億年と予測させているので、54億年で太陽が消滅するといわれているのです。
また、核融合に使うリチウムも数十万年分はありますので問題ありません。
だから、核融合炉による発電に必要な資源は豊富で、エネルギー資源不足の心配がないということですね。
○核分裂炉より核融合炉の方が安全?!
核分裂炉は、何かのミスや異常により制御ができなくなった場合、暴走して核分裂が進み温度が上昇し続けて炉心融解がおこり、放射性物質が漏れ出してしまい大問題になります。
それに対して、核融合炉は、何かのミスや異常により核融合が維持できなくなった場合、核融合しなくなり熱が下がるので暴走することはありません。
だから、核融合が維持できなくなった時に何かの被害が起こるとは考えにくいのです。
そして、核分裂炉も、放射性廃棄物はでますが、人体への影響が元から低いモノといわれていますし、放射性廃棄物は核分裂炉のモノより半減期も早いため環境にかける負荷が少ないといわれています。
ちなみに、核融合炉では、核分裂炉とは違い漏れる可能性はないと考えられています。
だから、核融合炉の方が、核分裂炉より安全だといわれているのです。
しかし、核融合炉にもデメリットがあります。
☆核融合炉のデメリット
核融合炉は、いろいろなことでメリットがありますが、デメリットもあります。
○技術的に実用化が難しい?
核融合炉が稼働してもすぐに発電に使用できるというわけではなく、いろいろな実験を経てから発電に使用されるため、発電用として本格的に実用化されるまでには、まだまだ時間がかかります。
そのため、核融合炉が完成したからといって、すぐにエネルギー問題が解決されるわけではなく、数年から数十年は必要だといわれています。
そして、核融合を安定的に維持することは難しいといわれており、少しの調整のミスなどがエネルギー供給の停止に繋がりますので、実用的なモノになるかは疑問といえます。
〇コスト的にも問題かも?!
核融合炉が技術的に難しいということは、開発費も多くかかりますので、コストが高くなる可能性があるともいえます。
他のエネルギーと比べて、コストが多くなれば、実用化が遅れるということになりますね。
〇核融合炉も放射性廃棄物の問題がある!
核分裂炉よりは、安全でクリーンかもしれませんが、核融合炉も放射性廃棄物は発生します。
放射性廃棄物が発生するというのは、デメリットですね。
○核という言葉が怖い!?
核という言葉は人々に恐怖を与えてしまいますので、核融合炉に理解していない人が稼働を反対してしまう可能性があります。
核融合炉を使用した発電所も原子力発電所には変わりないので、構造を知らない人からしたら怖いのはあたり前のことだと思います。
核融合炉の開発によって、今よりは安全になるかもしれませんが、放射性廃棄物の問題を解決できなければ、反対する人が多いと思います。
今後、核融合炉の開発がどう進んでいくのかは楽しみでもありますが、もっとクリーンなエネルギーの模索も人類が生き残るためには、大切ではないかと思う今日この頃です。