海外の映画などを見ていると、手紙に蝋を垂らしてスタンプみたいなモノで手紙に封をしていることを見かけることがありますよね。
それはシーリングワックスというヨーロッパなどで、手紙の封筒や文書に封印を施すための方法であり、日本語では封蝋(ふうろう)といいます。
そんなシーリングワックス・封蝋って、見ていてかっこよくて、自分もやってみたいなと思ったことがある方もなかにはいるのではないでしょうか? 私もそんな人の一人です。
封蝋セットはamazonなどでも販売していますが、どうせなら自分だけのオリジナルデザインの封をしたくはありませんか?
そこで、オリジナルデザインのシーリングスタンプ(封にデザインを付ける道具)の作成方法を紹介したいと思います。(自分が欲しいのでオリジナルシーリングスタンプ作った軌跡を残してみました。)
今回は真鍮エッチングといわれる金属を腐食させて作る方法でオリジナルデザインのシーリングスタンプを作る方法です。
力はいらないので材料さえ集めれば、素人でもシーリングスタンプを作成することが可能です。
ただし、エッチングに使用する液体の取り扱いには注意が必要なので、お子さんと行う場合は十分に注意してください。
〇文章を読むのが面倒! 動画でシーリングスタンプを作る方法を確認したい方へ
オリジナルデザインのシーリングスタンプを作る方法
〇シーリングスタンプを作るために用意する道具
・直径2㎝ 長さ1~2㎝ 真鍮(自分でカットする場合は長くても良い)
・金切りノコギリ(ちょうどいい大きさの真鍮を用意できたら不要)
・デザインナイフ (カッターで代用可能)
・カッティングシート
・マスキングテープ
・瞬間接着剤
・エッチング液 (ネット通販・ホームセンターで購入できます)
・非金属性容器
・直径2㎝ 長さ10㎝の木の棒 (持ちてに使います)
・耐水ペーパーヤスリ 粗目と細かい物を2つ(例:800番と120番)
△場合により必要
・金切りノコギリ(真鍮をカットする場合)
・小刀(持ちてをデザインする場合)
・彫刻刀(持ちてをデザインする場合)
・ニス(持ちてをデザインする場合)
・木工用ヤスリ(持ちてをデザインする場合)
・ノコヤスリ(持ちてをデザインする場合)
◎シーリングスタンプの作り方(真鍮エッチング)
材料と工具の用意が整ったことを確認してシーリングスタンプを作り始めましょう。
〇シーリングスタンプの真鍮を準備
直径2㎝程度、長さ1~2㎝程度の真鍮を使用します。
ちょうどいい真鍮を用意できた場合は必要ありませんが、長い真鍮の場合はカットする必要があります。
その場合、金切りノコギリを利用して1~2㎝程度の長さにカットします。
※ディスクグラインダを使ったカット
真鍮をカットする場合には、金切りノコギリ以外に、ディスクグラインダを使用する方法もあります。
金切りノコギリを使用する場合に比べて、時間がかかりませんので複数のカットをする場合に向いています。
ただし、ディスクグラインダでアッとする場合は、真鍮が非常に熱くなることや、ディスクグラインダが跳ねて怪我をしてしまう可能性があり危険ですので、慣れていない方にはオススメできません。
私は、一つ目は金切りノコギリを使用しましたが、2個目からディスクグラインダを使用して切断しましたが、不注意で真鍮に触って火傷をしてしまいました。軍手でも危険なぐらいの温度になりますので注意が必要です。
ディスクグラインダを使用してカットする場合には、十分に注意して行ってください。
ちょうどいい長さの真鍮を用意できたら、真鍮の表面をツルツルにするために、粗目の耐水ヤスリを使用して水を掛けながら研磨します。
水を掛けながら、研磨することで摩擦熱を抑えて、ヤスリの目詰まりを予防できます。
ある程度、真鍮の傷が取れたら今度は細かい耐水ヤスリを使って綺麗になるまで研磨しましょう。
ここで、凹凸があるとエッチング液で真鍮を腐食させる際に、ムラが出来てしまうのでかなり重要な作業になります。
※購入した真鍮の表面が既にツルツルの場合は研磨する必要性はありません。
〇シーリングスタンプのデザインを用意
まずは直径2㎝程度でシーリングスタンプにしたいオリジナルのデザインを考えましょう。
今回シーリングスタンプを作る方法では、細かい部分の再現が難しかったので、あまり細かいデザインにはしない方がいいかもしれません。
私のシーリングスタンプのデザインは少し文字部分が小さめだったので、最終的に少し文字の潰れが発生しました。
また、シーリングスタンプの柄は押したときに反転するので、作成したデザインを反転させる必要があります。
〇デザインを真鍮に設置
シーリングスタンプのデザインの用意ができたら、カッティングシートを使用して、デザインを真鍮に貼り付けます。
まずは、小さく切ったカッティングシートを真鍮に貼り付け、真鍮に合わせてデザインナイフでカットします。
カットしたら先ほど印刷したデザインを糊で真鍮に貼り付け、デザインに合わせデザインナイフでカットします。
カットした部分を取り除いたものがこちらです。真鍮の表面が見えている部分が腐蝕して溝になる部分です。
その他の部分はマスキングテープで覆い、腐蝕しないように保護します。
・他の方法
他の方法として、インクジェット用用紙に、レーザープリンターでデザインを印刷して用紙を水で濡らして真鍮に印刷面を貼り付け、アイロンをかけることで、インクを真鍮に転写する方法があります。
インクがエッチング液の浸透を妨げるので、カッティングシートを貼り付けるのと同じ効果があるようです。
レーザープリンターが利用できる場合は、こちらの方が正確なデザインにできるようです。
ただし、レーザープリンターにインクジェット用用紙を使用すると壊れる可能性があるかもしれません。
また、自分でデザインを付けた方が、よりオリジナル性が高まるので、カッティングシートをおすすめします。
カッティングシートがない人は、マスキングテープや大きなシールをカットして貼り付けても問題ないと思います。
〇エッチング液につけて腐蝕させましょう
いよいよエッチング液につけて真鍮を腐蝕させます。エッチング液は金属を腐食させる(錆びる)性質がありますので、なので容器は金属製の物を使用してはいけません。
エッチングに使用した後の廃液は、そのまま捨てることができません。業者に頼むか、消石灰をまぜて処理してから捨てる必要性があります。
サンハヤトが販売しているエッチング液が、処理剤も一緒に入っているので安心です。
また、素手で触ると荒れる可能性がありますので、ビニール手袋などを使用することをおすすめします。
エッチング液に先ほど用意した真鍮を入れて、4時間ほど待てば、自然に腐蝕します。
液温を40度に保ち、定期的にエッチング液を混ぜると、腐蝕がスムーズになるため、お湯で温めていますが無くても大丈夫です。
エッチングを行っている間は、時間がありますので、持ち手となる木を加工すると良いでしょう。
〇4時間経過したら、様子を見て取り出しましょう。
エッチング液につけて3時間~5時間ほど時間を経過すると、エッチングが進んで溝がしっかり出てきます。
取り出したら軽く水で洗浄して乾かして、カッティングシートとマスキングテープをはがし、持ち手と接着剤でくっつければ完成です。
金属を腐食させるのに時間はある程度かかり、細かい作業もありますが、作業自体は比較的簡単で誰でも手順を知っていれば行えます。
皆さんもぜひ、オリジナルデザインのシーリングスタンプ・シーリングワックス作りに挑戦してみてください。